離婚予備軍の潜在意識
1985年166,640組だったものが、2019年208,489組に増加。これは日本の離婚組数です(出典:厚生労働省の人口動態統計(2019))。伸び率は1.2倍となっています。それを優に超える離婚伸び率を示しているのが夫婦歴20年以上のベテラン組。1985年21528組だった離婚組数は、2019年40395組に激増増。伸び率はなんと1.97倍!ほぼ倍です。くわばらくわばら。そこで離婚予備軍とも言えないくもない60代の夫婦が家族に対してどのような意識を持っているかを深堀ってみたのが今回のレポートです。
60代の意外なストレスの原因
まずはビッグな衝撃データを。60代のストレスの原因は、「家族との人間関係」が38.5%で最も高くなっています(グラフ:1)。00年は23.5%でしたが20年には38.5%に急上昇。また「夫婦はどんなことがあっても離婚しない方がよい」は00年42.8%でしたが、20年には24.1%に大きく減少。離婚にとても寛容になっている様子が伺えます(グラフ:2)。
60代夫婦は「離婚」の2文字と隣り合わせ?
こんなデータも。「結婚は若いうち、できれば30歳までにすべきだと思う」は14年44.1%でしたが、20年には28%に減少(グラフ:3)。「そうね、結婚はさ、うーん、そんなに焦ってしなくてもいいんじゃないかな」とどこか奥歯にものが挟まったような結婚を素直に肯定できない心情を感じてしまうのは気のせいでしょうか。
どうも60代夫婦は「離婚」の2文字と隣り合わせに生きていると言えそうです。もしかすると、60歳で定年迎えて、夫婦で国内旅行に行くなんていう牧歌的な定年後のライフスタイルはもう幻想的なスタイルなのかもしれません。
変わりつつある日本人の結婚観
一方で結婚に関してこんなデータもあります。「子供が先にできてから結婚してもかまわない」が12年の38.5%から20年は51.7%へとアップ。「入籍すれば結婚式を挙げなくてもかまわない」が18年の58.7%から20年は70.1%へとアップ(グラフ:4)。「入籍をせず事実婚でもかまわない」が16年の15.9%から20年は24.6%へとアップ。「夫婦各々好きな事をしたり、別々に暮らしてもよいと思う」が14年の17.1%から20年25.6%へとアップ(グラフ:5)。
シニアの間で結婚に対する新しい価値観が台頭
60代の夫婦自身の未来にあまり幸せな成分を感じる事はできませんでしたが、彼らが昭和の価値観を終わらせる先導的な役割を担ってくれているのだと思います。皆に幸あれ。
これらは「世間体が悪いから」という理由で忌み嫌われてきたモノです。日本ほど世間からの圧力が強い国はありません。「世間が戒律」的な雰囲気すらあります。そんな世間体が悪いとされていたことを「いいんじゃない」と認める空気が今の60代にはあります。
とてもイイことだなって思います。
「結婚のスタイルなんて世間じゃなくて自分たちが良ければそれでいいんじゃない」という空気が拡がっていき、結婚を取り巻く重苦しい世間の呪縛から解放され、結婚がもう少し軽やかに出来るモノ(結婚はコスパが悪い贅沢品なんて言われ方をしていますが)に変わっていくといいですね。