これからの集客に欠かせないWeb広告。しかし、Web広告にはさまざまな種類があり、Web広告の運用を効果的に行うためには基本的な知識が必要です。そこで本記事では、Web広告の導入を考えている初心者の方のために、Web広告についてわかりやすく解説していきます。
Web広告とは
Web広告とは、インターネット上のメディアに掲載されている広告のことで、Webサイト・SNS・動画・メールなど各メディアの広告枠を利用して、宣伝できる仕組みです。
Web広告が必要な理由
パソコンやスマートフォンなどデジタルデバイスの普及により、テレビやラジオ、雑誌、新聞といった従来のマス広告からWeb広告へとシフトしてきました。
Web広告は、「効果測定ができる」「コストが抑えられる」「ユーザーの行動を促進する」「ターゲティングが可能」といった優れた点があり、従来型のマス広告の弱点をほぼカバーしています。
Web広告は他の広告と比べて、その市場規模は年々拡大しており、今後も成長が見込まれています。これらのことからWeb広告が必要とされていることがわかります。
・細かいターゲティングが可能
Web広告の最大のメリットといえば、住んでいる地域や年齢といった細かいターゲティングができることです。Webサイトでの閲覧・検索・行動履歴などから広告の内容に興味がある可能性が高いユーザーに絞って配信することも可能です。
・低コストで始められる
マス広告に比べて少ない費用で始められます。初期投資の必要がなく、単価や合計金額の上限設定が可能なため、少額からでも運用できます。
・効果測定により改善しやすい
従来型のマス広告と異なり、効果測定ができるので施策の改善がしやすく、数値を確認しながら改善のサイクルを早く回せるため、成果を得られやすいです。
Web広告のデメリット
Web広告には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
・運用の知識が必要
Web広告を運用するには、Webマーケティングと広告運用の両方の知識が求められます。初心者の方が成果を出すには、知識を習得しながら実践で覚えていく必要があるため、時間を要します。
・分析スキルが必要
Web広告およびWebマーケティングには、多角的な視点でとらえ考える力が必要です。また、計測したデータを見ながら課題の発見や施策を選定するスキルも求められるので、専門知識を持った外部に委託することも手段のひとつです。
・競合が多いキーワードは単価が高い
競合が多い業界のキーワードは、クリック単価(1回のクリックで発生する費用)が高額になることがあり、広告費がかさむ可能性があります。クリック単価を抑えるには、費用対効果の高いキーワードの変更や、入札単価を下げる、広告の品質を上げるといった施策が必要です。
Web広告のターゲット層と行動心理
Web広告で成果を得るには、目的を明確にし、どの層に向けてアプローチしていくのか考えていくことが重要になります。Web広告におけるターゲット層は「低関心層」「潜在層」「顕在層」「顧客層」の4つに分類されます。また、Web広告にはさまざまな種類があり、ターゲット層に適したWeb広告を選択することで成果につながります。
人がモノを買うときに、どういう心理が働いてどんな行動をとるのか、行動パターンを理解することも重要です。
「AISAS(アイサス)」とは、商品やサービスを購入するまでの購買行動の流れをモデル化したもので、広告代理店の株式会社電通が提唱しました。
Attention | 認知・注意 | 商品やサービスを知る |
Interest | 興味・関心 | 興味を持つ |
Search | 検索 | 情報収集(比較・検討) |
Action | 行動 | 買う |
Share | 共有 | 感想や評価を共有する |
AISASは、5つのプロセスから成り立ちます。まず、ある商品やサービスを知り、興味を持つとインターネットで検索します。そこで情報収集や比較・検討を行い、購入後は口コミサイトやSNSなどで他のユーザーと感想を共有します。ユーザーの購買行動を把握することで、より適切なタイミングで商品やサービスをPRすることができます。
「AISAS」と似た言葉で「AIDMA(アイドマ)」があります。AIDMAは、1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱したもので、購買行動を考える際の基本的なモデルです。
Attention | 認知・注意 | 商品やサービスを知る |
Interest | 興味・関心 | 興味を持つ |
Desire | 欲求 | 欲しいと思う |
Memory | 記憶 | 欲しいと思い出す |
Action | 行動 | 購入する |
Web広告の種類
ここからは代表的なWeb広告の種類を解説していきます。
・リスティング広告
特 徴 | 出稿から効果を得られるまでの期間が短く、 少額から始められる |
ターゲット層 | 顕在層 |
課金方法 | クリック課金 |
リスティング広告とはGoogleやYahoo!などの検索エンジンで、検索結果の画面に表示される文字ベースの広告で「検索連動型広告」とも呼ばれています。ユーザーが検索したキーワードに関連した広告が表示されるため、商品やサービスに興味・関心があるユーザー(顕在層)を集客できるという点がメリットです。したがって、商品やサービスを知らない潜在層や低関心層へのアプローチには向きません。
Webサイトが自然検索で上位表示されるには、SEO対策をするため時間を要しますが、リスティング広告はすぐに検索上位に表示されるため即効性があります。ただし、競合が多い検索キーワードはクリック単価が高くなり表示回数が減るため、戦略的に進めていく必要があります。
・ディスプレイ広告
特 徴 | 写真や動画といった視覚的アプローチができる |
ターゲット層 | 潜在層~顕在層 |
課金方法 | クリック課金・インプレッション課金 |
ディスプレイ広告は、画像や動画、テキストなどを使用した広告で、Webサイトやアプリなどの広告枠に表示されます。視覚的要素が強いので、ユーザーに興味を持ってもらいやすく、年齢や性別、地域などの細かなターゲティングが可能なので、潜在層に向けて認知度を上げるためのアプローチに適しています。
しかし、ユーザーが自ら検索して表示される広告とは違い、検索意欲が高いユーザーではないため途中で離脱(そのサイトから離れる)しやすいです。クリック率につながるような訴求内容が的確でクオリティの高いビジュアル広告を作る必要があります。
・アドネットワーク広告・DSP
ディスプレイ広告の運用を行う手段に、アドネットワークやDSPがあります。
アドネットワークとは、Webサイト、SNS、ブログなどの複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークのことで、それらの媒体に広告をまとめて配信する手法です。
特 徴 | 業務効率を上げられる 効果測定データをまとめて確認できる |
ターゲット層 | 潜在層~顕在層 |
課金方法 | クリック課金・インプレッション課金 |
DSP(Demand-Side Platform)は、複数のアドネットワークに広告配信ができるツールです。ターゲット層や予算などを設定すると、自動で最適な広告配信を行います。
特 徴 | 複数のアドネットワーク広告を一括で管理できる 配信ジャンルを絞ることができる |
ターゲット層 | 潜在層~顕在層 |
課金方法 | インプレッション課金 |
・リターゲティング広告
特 徴 | 一度Webサイトを訪れたユーザーを追って アプローチできる コンバージョンしやすいユーザーを狙える |
ターゲット層 | 顕在層 |
課金方法 | クリック課金・インプレッション課金 |
リターゲティング広告は、一度Webサイトを訪問したことがあるユーザーに再度、広告を表示する手法です。リターゲティング広告のメリットは、効率よくコンバージョンが獲得できる点です。コンバージョンとは、購入や会員登録、資料請求といったWebサイトの目的となる成果のことです。過去にWebサイトを訪れたユーザーは興味関心があるといえるので、再度アプローチすることで、コンバージョンしやすいです。ただ、広告が繰り返し表示されるので、しつこいと感じさせてしまう可能性があります。表示する回数限度の設定など注意が必要です。
なお、媒体によっては呼び名が異なり、Yahoo!では「リターゲティング」、 Googleでは「リマーケティング」と呼ばれています。
・SNS広告
特 徴 | ターゲティング精度が高い 幅広いターゲット層にアプローチ |
ターゲット層 | 低関心層~顧客層 |
課金方法 | クリック課金・配信数型課金 |
SNS広告とは、Twitter、Facebook、Instagram、LINEといったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)上に表示される広告のことです。SNS広告は、年齢や性別、居住地、趣味など、登録されているユーザー情報に基づいて細かくターゲットを絞り込むことができます。低関心層から顧客層まで、幅広いターゲット層にアプローチが可能です。
SNS広告の強みは、その拡散力の高さです。ユーザーが他の人にシェアしたいと思うような魅力的な広告が求められます。しかし、インパクトだけを狙った広告は、炎上という悪い形で拡散されてしまうこともあるので注意が必要です。
・アフィリエイト広告
特 徴 | 売上に直結しやすい施策 費用対効果が高い |
ターゲット層 | 顕在層~低関心層 |
課金方法 | 成果報酬型 |
アフィリエイト広告は、成果報酬型の広告で、ユーザーが購入や申し込みをするなどのコンバージョンに至った際に、アフェリエイターに広告費(報酬)が支払われる仕組みになっています。アフェリエイターとは、自分のサイトやブログ、SNSなどに広告を掲載し、報酬を得ている人のことです。基本的にはASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)という仲介会社を通じて広告掲載を依頼します。
費用が発生するのはコンバージョンに至った時なので、他のWeb広告と比較しても費用対効果に優れています。
・ネイティブ広告
特 徴 | 広告色が薄くユーザーにストレスを 与えにくいため、興味を持ってもらいやすい |
ターゲット層 | 低関心層~潜在層 |
課金方法 | クリック課金・インプレッション課金 |
ネイティブ広告とは、メディアのコンテンツ(記事)に広告を自然に溶け込ませ、コンテンツの一部であるかのように見せる広告のことです。
ネイティブ広告にはさまざまな種類があります。中でも「インフィード広告」は、WebサイトやスマホのニュースアプリやSNSのタイムライン(フィード)上のコンテンツとコンテンツの間に挟み込まれて表示されるので、自然な流れでユーザーの目に留まり、クリックされやすいです。
・純広告
特 徴 | 幅広い層に広告を表示できる 必ず希望の位置(広告枠)に掲載できる |
ターゲット層 | 低関心層~顕在層 |
課金方法 | 保証型課金(期間保証型・クリック保証型など) |
純広告とは、特定のWebサイトの広告枠を買い取って一定期間掲載するものです。期間中は必ず表示されるので、利用者の多い媒体であれば多くのユーザーの目に触れることになり、低関心層にもアプローチできます。
・記事広告
特 徴 | 媒体の知名度から信頼感を得やすい 「広告」や「PR」などの表記が付く |
ターゲット層 | 低関心層~潜在層 |
課金方法 | インプレッション課金 |
記事広告とは、Webサイトに通常の記事と同様の体裁で、PR用の記事を掲載してもらう手法です。広告主が媒体と連携して制作する広告であることから、タイアップ広告とも呼ばれます。
・動画広告
特 徴 | 目を引きやすく多くの情報を届けられる クリックしなくても動画が再生される |
ターゲット層 | 低関心層~潜在層 |
課金方法 | 広告視聴単価型 |
動画広告は、動画を活用した広告です。YouTubeなどの動画コンテンツ内で再生される「インストリーム広告」やバナー広告の枠に掲載される「インバナー広告」などいくつか種類があります。
Web広告の課金方式
Web広告の課金方式を紹介します。
課金方式 | 内容 |
---|---|
クリック課金型(CPC) | 広告のクリック回数に対して料金が発生 |
インプレッション課金型(CPM) | 広告の表示回数に対して料金が発生 |
配信数型 | 配信した回数に対して料金が発生 |
成果報酬型(CPA) | コンバージョンが発生した時に料金が発生 |
期間保証型(CPD) | 一定期間、特定広告枠への広告掲載が保証され、期間ごとに料金が発生 |
広告視聴単価型(CPV) | 動画が視聴された時に料金が発生 |
エンゲージメント課金型(CPE) | SNS上でのシェア、フォローなどのユーザー行動に対して料金が発生 |
本記事では、Web広告の基礎知識と種類や特徴について解説しました。Web広告には、さまざまな種類があり、それぞれメリットやデメリットがあるので使い分けが必要です。Web広告を選ぶには、ターゲットが利用する媒体を選び、目的に合わせて検討していくことが重要です。そのためにもターゲットと目的を明確にし、Web広告を効果的に活用していきましょう。
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